サニー・サイド・ダウン


フルイド編


 夜半の駅立つ足が手が震える言葉行き交い全てが刺さる
 「僕」「私」「俺」「自分」「うち」喋りだす寸前のままならなさよ
 段ボールを纏って暮らす「レス」と「ノー」の接頭・接尾も要らない世界


君編


 手触りのなき悲しみを踏み躙り凶悪犯罪を君は語りだす
 リスト・カットの痕を見せて「痛かったの」と言ってた君の苗字が変わる
 やわらかいふりあかるいふりいきてるふり全部あなたの得意技
 占いなんて信じない君が死んだのは星座占い最下位の日


身体感覚編


 映画にも詩にもならない我が生活つま先と腕背と耳と舌
 傍らに鷺沢萠傍らにマイスリー・デパス満たされたし
 これ以上踏み込むなと言外に含まれた意味砒素の香り
 ハルシオンもカウンセリングも必要ない海に解けゆく我がおさなご
 背に鼻埋めコーラの匂いと言うは江國シーツの上の足は四本
 電話帳「削除しますか?」はいを押せぬ指そうしている間に通知音鳴る


ヒキニート編


 光走る感謝を紡ぐ口の震え無知を自覚する脳の熱さよ
 心冴えトゥルー・エンドを見ず終える電子の嫁のほほえみは一万
 2日超えのカレールウを口にして深夜番組に嗚咽殺す
 <font size="+3">我々の望みしものと捨てしものこの海の中に埋めてくれよう</font>
 退屈と自意識抱え文化祭個室トイレに籠もった記憶
 ペッパーが月面に立ち手を振ってコールド・スリープの我ら微笑む


サマー編


 スカート折ってパピコ折って分け合って全て悟った夏が過ぎゆく
 図らずも遠出してみる夏の昼人混みに怯える吾は異邦人
 炎天下フリッパーズ・ギターかけ得意げに汗にまみれて御託並べる
 スチャダラの「サマージャム'95」を聞きながら「何処行く?」「海は?」友と語れり